ご紹介したいドラマ「ジェーン・ザ・バージン」は、ベネズエラのテレノベラ(南米のメロドラマ)『Juana la Virgen(原題)』のリメイク作品。
コロンビアのテレノベラをリメイクした『アグリー・ベティ』がお好きな方であれば(もちろん私も好きでした)、絶対はまるドラマのはずです。
基本的にラブコメなのですが、メロドラマを地で行くお約束がてんこもり。そしてその展開をラテン系のナレーターがいじり倒すというシャレた設定です。
絶対にあり得ない!こそ王道な南米メロドラマ
主人公はパーフェクト処女
主人公ジェーンは、大好きなアルバおばあちゃんの言いつけを守り、結婚まで純潔を誓う優等生。
現在はホテルでアルバイトをしながら、教員を目指して大学に通っています。
彼女には警察官で爽やかイケメンの、婚約者マイケルとがおり関係も良好。
交際期間は2年にもなる中で、彼女の願いを尊重して彼女の貞操を守りつつ自身も浮気をしない(少なくともそんな描写はない)、信じがたい好青年でもあります。
母子家庭ながら祖母と三世代の家族仲もよく、その人生は順風満帆でした。
冒頭でまさかの処女懐妊発覚!
そんな彼女に晴天の霹靂ともいうべき出来事が。
なんと妊娠が発覚するのです。
彼女は事実まごうかたなき鉄壁の処女。まさかの処女懐妊なのです。
始めは、そういうスーパーナチュラルものかしら?とドラマを視聴していたのですが。
原因はなんと医療ミスが発端であることが早々に判明。婦人科診察で誤って人工授精させられていたというのです。
いやいや、そんなことあるかい!と突っ込みたいところですが。そう、そんなあり得ないが詰まっている。これこそがこのドラマ特有のメロドラマいじりなのです。
何気にステキすぎる母娘関係
ちなみに、妊娠を告げられた場に同席したジェーンの母ショマラは、自身はジェーンを16歳の若さで出産(当然やることやって)していながら、23歳のジェーンの純潔は1ミリも疑っていません。
自信満々に「あんたどこのバカ大学なの」と医者に詰め寄るくらいです。
対する医者はうんざりしたように「処女では妊娠しませんよ」と反論。
まあ「親はそう信じていても、娘はヤルことやってんだ!」と思う、医者側の主張が普通正しいですからね。そもそも現実では絶対そうですから。
それでもなお、ゆるぎない姿勢で娘を信じる若い母と、彼女が当然のごとく自分の味方だと確信している娘。二人の親友のような関係性にほっこりするシーンでもあります。
容赦なき「あり得ない」設定が最高
そもそも父親は誰!?
いずれにせよジェーンが身ごもっているのは事実。ではそれは誰の子どもなのか。
なんと父親は、彼女のアルバイト先のホテルのオーナーラファエルだと知らされます。
ホテルの経営者というスペックに加えて、これがまたラテン系の超セクシーな色男。
しかも彼には、トロフィーワイフと揶揄される美人妻ペトラがいます。野心家でもある彼女は、自分の地位が脅かされかねないジェーンの妊娠にやきもきすることに。
波乱の予感!
犯人は実の姉!
実はラファエルは病気のために子どもを作れない体になっており、その前に採取されていた精子があったのですが。よりによって彼の実姉ルイーザ医師にそれが誤って使われたという、とんだ茶番なのです。
ナレーターお決まりのセリフ「Ah!Telenovela」の真骨頂ですね。
とにかくこのルイーザがトラブルメーカー。
毒親ともいえる母親に依存しており、神経質で精神不安定。
同性愛者である彼女のガールフレンドはソシアパスの犯罪者というのも頷けます。情緒不安定な彼女は、この恋人にいいように振り回され利用されていました。
ルイーザ本人には悪気がないにも関わらず、やることなすこと裏目に出て周りを巻き込むことになるのです。
意外にも祝福される妊娠に
さて、そうしている間にもジェーンのおなかの子は育ちます。
信仰心の強いジェーンがもちろん中絶するわけはありません。
彼女に落ち度はなく100%事故のため、婚約者マイケルも妊娠の事実を受け入れ彼女を支えます。
もちろん今後子どもを望めない既婚者のラファエルも、思いがけないこの出産を歓迎します。
メロドラマお約束の修羅場へ
出産にあたって、ラファエルとのかかわりも増えていくジェーン。上司という立場上、厳格な姿ばしか知らなかったラファエルでしたが、元来思いやりに満ちた紳士。
ジェーンは、彼女を心からいたわるその人柄に触れ、次第にラファエルに好感をもつようになっていきます。そしてラファエルも、思慮深く聡明なジェーンに少しずつ惹かれていきます。
婚約者のいるジェーンと妻のいるラファエル。
メロドラマ~。
正直言って、ジェーンはそれほど美人ではありません。そんな彼女が、爽やかイケメンのマイケルに愛され、ゴージャスでハイスペックなラファエルにまで思いを寄せられるなんて。
ナレーターが何度も「テレノベラ~」と叫んじゃうけれど、メロドラマというよりもはや少女漫画です。
お約束中のお約束な父親の存在
さらに未婚でシングルマザーのもとで育ったジェーンですが、彼女の実の父親はなんとメロドラマ俳優ロヘリオであることがわかります。
いや~メロドラマ的だけど、さらに父親がメロドラマ俳優って遊びすぎ。
よもや自分に娘がいるなど、夢にも思っていなかったロヘリオ。ジェーンの存在を知ると当然彼女にメロメロになります。
イケメン二人に加え、父親にまで溺愛される展開です。
しかしまあ「中年になってから、突如実の子どもの存在を知る」男性夢のシチュエーション。
お約束通り越して、このドラマの流れもうただ単純に楽しい。
シニカルな設定の緩急もうまい
まあしかし冗談のような展開の中で、きちんと考えさせられる箇所が盛り込まれているのが、実に秀逸なドラマです。
ともに暮らすジェーンのおばあちゃんアルバはスペイン語しか話せません。
しかし3世代家族の娘ショマラ・孫ジェーンが話すのは英語です。
そんな彼女たちの日常は、スペイン語と英語の受け答えで会話が完璧に成り立っているという、日本人には不思議でおもしろい世界観も見どころです。
とはいえただのおもしろい設定ではなく、ドラマ内でもリアルに移民問題についても触れられています。そこはやはり「アメリカ」の現実を感じさせられます。
さらにショマラの病気が発覚したり、ジェーンの産んだ息子の発達に問題があったり…。メロドラマ的でありつつ現実的で、共感できるそれぞれの葛藤や成長にも目が離せません。
強烈な脇役達も魅力的
そのほか、個性的で魅力的なキャラクターが続々と登場します。ジェーンのビッチな親友や、俳優である父親のまわりの魑魅魍魎としか言いようのない人々。
そして登場人物たちの入り乱れる人間関係。いやはや、なかなかの盛沢山の内容です。
わくわく、キュンキュン、ドキドキ、ホロっと。
最後まで見終えれば、メロドラマの凄まじいポテンシャルを知ることになるでしょう。
ちなみに、最初本気でイヤな奴だったラファエルの妻ペトラが、実はツンデレで時々めちゃめちゃかわいくなるのが萌え。そしてなんなら一番変化(成長)していくところなど、私の一番の推しキャラでした。
さて、あなたの推しは誰になるでしょうか?


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