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マインドブロックに気が付く名著「バカの壁」(2003)養老 孟子 著

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センセーショナルにタイトルで話題をさらいましが、けっして一過性ではなく。20年以上もの長きにわたりロングベストセラーである養老孟子氏の「バカの壁」。
今更取り上げるのもナンセンスかもしれませんが。最近読み直してみて、改めて響くところが十分にあると感じましたので、ご紹介させていただきます。

最高学位の筆者が選んだのは「解剖学」

著書の養老氏といえば、医師の母のもとに生まれ東京大学医学部へ進学する、という最高峰の王道をたどられたお方です。
しかし自身の臨床医としての適正に疑問を感じあまり日の当たらない分野でもある解剖学を専門に選ばれました
生物体の形態・構造・機能などを研究する学問であり、医学における非常に大切な立ち位置ですが、専門とするのは少数派。解剖医(死体を解剖して犯罪の有無や病気の原因を特定するなど)を目指す医学生もかなり少ないといいます。
自らそこへ身をおかれた養老氏ですから、お話を聞いたり文章を読んだりしていると非常にロジカルに「人間」というものをとらえられているなあと感じさせられます。

知的な集団にみる「バカの壁」

第一章で、薬学部の学生(一般的に言って知的な集団)に妊娠から出産までのドキュメンタリーを見せたときのエピソードがまとめられています。見終えたあと、学生たちの述べた感想は、
男子学生「こんなこと知っている」女子学生「新しい発見があり勉強になった」
そう、彼らは知識として「妊娠・出産」を、人並み以上に知っています。
しかし、それを「実体験する」可能性のある者とない者によって、とらえ方がまったく異なっていたのです。
子を産む経験をすることが物理的にない男子学生にとっては、それは単純に既知」の「知識
一方で今後実際に妊娠・出産をする可能性のある女子学生たちにとっては、それは未知」の「経験です。
そこに大きながある。
著者は、このように物事に対して「思考停止」に陥ること「バカの壁」と命名しているのです。

「話せばわかる」は大嘘

さらに本書で述べられる「話せばわかる」は大嘘は、のっけから突いてきます。
いやしかしそうでしょう。同じ「日本語」を解する同士であっても、まったく「言葉が通じない」ことはままある話。これは「自分が知りたくないこと、興味のないことに対しては、情報を自主的に遮断してしまう」という人間の性質によるものです。
氏は、人が「知りたくないこと」に耳を貸さないことについて「一次方程式の係数がゼロ」という表現をしています。
y=axの係数a=0であれば、xにどんな重要な物事を代入したところで結果y=0です。

逆にこのa=無限大であることも危惧しています。それは絶対主義
宗教や信仰などのそれです。そうなると、今度はxに何を入れても、y=自分が絶対的に信じるモノになってします。それがテロを生み出してきたとも。
そこまで極端ではなくても、aがマイナスならばどこまでもネガティブに受け止めてします。
そこにあるのは偏見迫害

「個性」に執着することで生まれる「壁」

また「個性」に偏執することの危うさも説いています。
多くの人は「努力して個性を身につけなければならない」と思い込んでいます。しかし、養老氏は「個性とは、意識的につくるものではなく、身体の構造上、最初から違っているもの(結果として残るもの)」だと述べています。自然と生まれるものであり、もたければならないものではありません。
それにもかかわらず「自分には独自の個性(かけがえのない価値)がある」という思い込みに偏執すると、「自分は特別だから他人に理解されるはずがない」、あるいは「あいつは理解不能なやつだ」という認知の歪み(壁)が生まれます。 さらに自分の個性に固執するあまり、他者の個性を認められなくなり、人間関係に大きな壁を作ってしまいます。

「バカの壁」はあらゆる場面で人の成長を妨げる

筆者はあらゆる壁を生み出す具体例をあげ、いかに私たちが自身に「壁」を作ってしまうかを繰り返し問いかけてきます。
絶対的なものを信じ込む「一元論がいかにその壁をつくり出してしまうのか。
しかし日本には古来二元論的な考え(矛盾する2つの原理や要素からなると考える概念)が根付いていたことを、古典『方丈記』の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という名言からひも解いていきます。
確かに人はともすれば一つのあり方や思い込みに執着し、「ものごとは変遷するという」という柔軟な姿勢を失いがちなのかもしれません。

少々極端な例もあるかもしれません。しかし、改めて自身に「壁はないか」見つめなおす、きっかけとなる名著であることは間違いないでしょう。
皆様の中に眠るバカの壁を、打ち破ってみませんか。

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